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Wantedly Journal | 仕事でココロオドルってなんだろう?

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「死ぬまで現役でいたい」UIデザイナー鈴木潤一の熱い挑戦

平日はUIデザイナー、週末は住職。仏教の教えから得られた「結果を出す方法」とは

アライドアーキテクツ株式会社

2016/11/01

近頃多様化する「働き方」。そんな中でも異彩の肩書きを持つ、UIデザイナーであり、住職でもある鈴木潤一さんにインタビューしています。

前編では、住職になる気なんてまったくなかったという鈴木さんが、修行を経て住職となり、そこからさらにUIデザイナーとしての就職を目指した経緯を伺いました。

▶︎前編:職業はUIデザイナー兼、住職。「人生は一度きり」だから選んだ生き方

後編では、主にUIデザイナーとしての鈴木さんに焦点をあて、デザインにかけるその熱い思いを語っていただきます。

チームで最高のプロダクトを

晴れてアライドアーキテクツに入社した鈴木さん。受託案件を担当するところから、UIデザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。

「最初はとにかく勉強と思っていろいろな仕事をやらせてもらい、たくさんの案件に携わることができました。そうやって経験を積む中で、会社の成長とともに、自社のサービス開発に携わりたいという思いを少しずつ持つようになりました。もちろん、決められた条件のもとで開発をおこなって最大限の結果を生み出すという従来の仕事でしか得られない経験ややりがいもありました。ただ、僕の中では『自分の手でゼロから作り出してみたい』というモチベーションがしだいに強くなって。その頃から、自社サービスを開発したいという思いを強く抱くようになりました」

その後、なんと自ら社内のサービスチームを立ち上げたという鈴木さん。あちこちに意識が分散しないよう、そのチームは新規サービスのみに注力するというルールを設けました。しかし、今度はまた別の壁にぶつかります。

「そのときはマネージャーという立場にいたため、サービスそのものよりも、人と対面する機会がどうしても多くて。なかなかサービス開発に集中しづらいという悩みがあり、結局、社内の組織改変のタイミングでその立場を退かせてもらったんです。ただ、専属チームを立ち上げたことは、社内でも好評だったので、その点はよかったなと思います」

そして現在、鈴木さんが注力しているのは、植物を愛する人たちが写真を投稿してコミュニケーションをとれるアプリ『GreenSnap』。2013年に社内でおこなわれたビジネスコンテストで勝ち抜き、アライドアーキテクツ初のインキュベーションサービスとしてプロダクト化が決まった自社開発のアプリです。

−企画が始まるとき、どう思いましたか?

「その頃、植物をピンポイントで扱っているめぼしいアプリもなかったですし、すごくおもしろそうだなと素直に思いました。しかも、チームにはビジネスやエンジニアリングの各分野から優秀なメンバーが集まっていたので、その点でもチャンスだなと。

うちのチームの強い点は、専門性によるものだけでなく、たとえば僕はユーザーの満足度など定性目標を見るけれど、エンジニアは定量でKPIをしっかり追っているなど、絶妙なバランスでそれぞれの能力が歯車のようにかっちりと合っているところなんです。

最高のメンバーですが、このメンバーだからこそ結果を出さないといけないという意識も強いですし、逆に言うと、今このメンバーで成功できなかったら、今後引退まで成功できないなとも思っています。なので、僕はこのアプリにかけているんですよ」

−デザインを担当する中で、大切にしていることはありますか?

「『デザインにこだわりすぎない』ということです。スタートアップって、やらなきゃいけないことが本当にたくさんある。なので、立ち上げの本当に初期の段階で大切にすべきことは、“めっちゃかっこいいデザインを作る”ことより、“ユーザーのことを深く理解して、ニーズのあるものを作る”ということだと考えています。

あと、デザインをひとりで担当していたので、最小の工数で最大の効果を出すということも意識していました。省エネでやっていかないと、サービスが立ちゆかなくなってしまっては元も子もないので」

鈴木さんは、日頃から世の中のアプリを研究し、自身のデザインに生かしているんだそう。どのように研究するのかと聞くと、鈴木さんならではの独特な方法を教えてくれました。

「アプリって、バージョンアップで確実に進化するので、アップデートのお知らせがくるとその内容をチェックする、という方法で日々研究しています。そのとき、このアプリはプロダクトとして今どういう状態にあるのか、そしてこのタイミングでこのアップデートをおこなった意味はなにか、という背景を考える。そうすると開発者の思惑が見えてくるので、自分のプロダクトが同じ境遇になったとき、参考にできるんです。

注目しているアプリは、『提案型』とか『チャット型』、『フィルター型』というふうにフォルダー分けをして、経過を観察しやすくしています」

『GreenSnap』について語る鈴木さんは、とても生き生きとして、アプリを紹介してくださる声にも熱が入ります。鈴木さんに「仕事は楽しいですか?」と問いかけると、「楽しいです」と即答。

「いつもその時々のピークを求めて打ち込んでいるので、いつも“今”が一番楽しいんですよ。やりがいを感じるのは、ユーザーの声が届くときですね。僕はアプリを作ることで、使ってくれている人たちの笑顔を作ってると思っているので。

幸運なことに投稿型のアプリという性質上、ユーザーの声が比較的届きやすいんです。いつもユーザーさんの愛のある投稿を見て、癒やされています。ほかにも、ユーザーさん同士が日本各地で自発的に支部を作っていたり、オフ会も盛んにおこなわれていたりといった報告も届いているんですよ! 植物に焦点を当てた投稿型のアプリがあまりないこともあって、集まっているユーザーさんの熱量が高く、やりがいにつながっています」

鈴木さんご自身は、『GreenSnap』に携わるまで、植物に深く興味を抱いたことはなかったそう。でも今はすっかりはまってしまったとのことで、デスクにもかわいらしい観葉植物がディスプレイされています。

−『GreenSnap』の未来について、どんな展望がありますか?

「とにかくアプリが生き残ることが重要なので、ユーザーの皆さんを楽しませつつ、末長く存続させていきたいということですね。僕が尊敬するnanapiのけんすうさんも『3年やり続けたほうがいい』とおっしゃっているんですが、仮に泥水をなめても続けるということが重要だなと」

仕事は「山登り」

デザインの仕事、そして開発しているアプリについて熱く語ってくださった鈴木さん。鈴木さんにとっていったい“仕事”とはなんなのでしょうか?

「そうですね、仕事は山登りにたとえられると思っています。山は、歩みを止めなければ、いつか必ず頂上にたどり着ける。転んだり、雨に降られたりしても楽しめるような山を見つけて、ひたすら登ってやりきりたいんです。そして、ある山を登りきったら、次はもっと高い山に登りたい。

今はGreenSnapという山を登っていますが、感覚としてはまだ3合目くらい…。いつかこの山を登りきったら、次は自分で責任、リスクをとってチャレンジしたいですね」

−熱いですね…! そこまで情熱的になれるのはなぜなのでしょう。

「基本的には、『やってみたい』という純粋なモチベーションなんですけど、やっぱり弊社に入って、ベンチャー精神に感化されたというのはあるかもしれませんね(笑)。

あと、学生時代から抱いている、『人を楽しませるにはまず自分が楽しむ』というモットーも影響しています。ユーザーを楽しませるには、まず自分が楽しんで開発することが大事。もともと0を1にするというクリエイティブが好きですし、こうやってずっとスタートアップをやっていきたいなと。そして死ぬまで現役でいたいです。あと50年あると仮定すると、10個くらいのプロダクトに携われるなって思っていて、それも楽しみです」

最後に、週末住職として働く鈴木さんならではの仕事観にも迫ります。

−仕事をする中で、仏教の教えが生かされるときはありますか?

「お釈迦様の教えは、(一言で要約すると)『人生のコツは、とらわれないこと』と解釈しています。なので仕事に打ち込む際には自分の肩書きやしがらみにとらわれずに、結果を出すことだけを考えて、いろんな視点から考えたり、行動したりするように心がけています。

あと、これはまた別の話なんですが…。修行時代、起床後に40分ほどおこなう朝の座禅で、たまに集中力がぐっと高まって、聴覚が研ぎ澄まされることがあったんです。そのとき、『何かを削ると何かが浮き上がってくるんだ』と気づきました。それはデザインにも通ずるなと思っていて、何か際立たせたいデザインがあったときに、そこに手を加えるのではなく別の何かを削るという選択肢があるのだと学びましたね」

−それでは、修行の日々も、住職としての役割も、全てが今の鈴木さんの仕事観につながっているんですね。

「もちろんそうですね。仕事は基本楽しいですが、たまにつらいときがあっても、あの修行に比べたらへっちゃらだなって思って乗り越えているんです。あのときはジュースが飲めなかったけど、今は飲めるぞって(笑)」

「それに、今後どんなプロダクトを作りたいかと言われると、長く残るものが作りたいんですよ。今は時代の流れが速くて、人気のあるものでも5年ほどで忘れられてしまうことが多いです。そう考えると、仏教が何千年も残っているというのは本当にすごいこと。そういう教えの中に身を置いているというのが、なによりの誇りだなと思っています」

インタビューのあと、袈裟を身につけた姿を披露してくれた鈴木さん。大変お似合いですが、「社内で着るのは恥ずかしい」と照れ笑い。その上で、「目を細めているとご利益がありそうに見えるんですよ(笑)」と、住職ならではのジョークで笑わせることも忘れません。

鈴木さんの働き方は特殊ですが、UIデザイナーとしての顔も、住職としての顔も、「人を楽しませるにはまずは自分が楽しむ」というモットーが一貫して根底にあります。それが、鈴木さんのかもし出す、包容力の所以なのかなとふと思いました。

いつか最後の山を登りきるその日まで、鈴木さんの挑戦は続きます。

▶︎前編:職業はUIデザイナー兼、住職。「人生は一度きり」だから選んだ生き方

Interviewee Profiles

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鈴木 潤一
1981年3月生まれ。千葉県出身。大学卒業後、2004年より曹洞宗の本山総持寺にて一年間の修行後、2006年に曹洞宗長善寺住職に就任。2009年、アライドアーキテクツ株式会社に入社。WEBサイトの受託開発やSNSマーケティングプラットフォーム「モニプラ」などの制作に従事。2015年に社内初のインキュベーションサービス「GreenSnap(グリーンスナップ)」の立ち上げに参加。以来、サービスのUI/UXデザイン全般を担当している。

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