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地方移住を会社に相談〜仕事継続を実現するまで。ライフイベントでキャリアをあきらめない働き方

家族の都合や自分の希望で地方に移住する――あなたなら、仕事はどうしますか? デジタルエージェンシーTAMのディレクター、村上祐香さんは「沖縄からのリモートワーク」を選択しました。

物理的な距離がある中で、これまで通りに仕事を進めるには、どのような組織マネジメントやコミュニケーションが必要なのでしょうか? また、どんなマインドセットが求められるのでしょうか?

村上さんと、その上司であるチームディレクターの飯田健さんにお話を伺いました。

保険会社の営業から転職

-現在のTAMでのお仕事は?

村上:社会人5年目で、TAMには3年前に中途入社しました。今はWebマガジンとメルマガのような定期的な案件を運用しながら、SNSキャンペーンや広告施策、またWebサイトやコンテンツの制作を行っています。最近はオンラインイベントの企画や運営などにも関わっています。

-もともとデジタルマーケティングへの関心や経験があったのでしょうか?

村上:まったくありませんでした。新卒の就職活動では最初、「やりたいこと」を軸に広告業界などを見ていましたが、自分の生活やライフイベントを考えたときに、激務で続かないだろうな……という懸念を感じて。

それで、「働きやすさ」という軸にシフトし、福利厚生が整っていて、長く働いている人が多い業界に着目しました。最終的に新卒で入社したのは保険会社で、3年間、代理店営業をしていました。デジタルマーケティング的なことは全然関係なく、営業畑でしたね。

-転職したきっかけは?

村上:最終的には自分で納得して保険会社に入ったのですが、いろいろある中で、やっぱり自分がやりたいことや興味があることにシフトしたいと考え、Web業界を中途で受けることにしました。

Web業界はどちらかというと、ライフイベントに沿って働きやすい業界なのかな、と思っていたので、 働きやすさという軸でも総合的に判断しました。
TAMに入社してから4年目で、沖縄に移住することになって、実際にそれが証明された形です。ここまで柔軟だとは思ってなかったですが……。

ーどうして沖縄に移住されたんですか?

村上:TAMに入社した当初は関西に住んで大阪オフィスに通っていて、沖縄移住はまったく考えていませんでした。それが、TAMに入社する前から付き合っていたパートナーと結婚して、「仕事の関係で沖縄に行く」と急に言われたのが今年の1月です。

沖縄移住を上司に報告、その反応は…?

-沖縄移住の話がパートナーから出たとき、すんなりついていくことを決められましたか?

村上:しばらくは抵抗して、相談しました。私もやっぱりTAMで仕事を続けたいし、ちょうど大きい案件もあったので、どうにかならないかという話をしていました。

夫婦別居という選択肢もあったかもしれませんが、ちょうど新型コロナの状況になり、在宅勤務が主流になったことも後押しとなり、沖縄行きを受け入れることにしました。

-最終的な決め手はどこにあったんですか?

村上:結婚してパートナーの仕事の関係で引っ越すとなると、私の母もそうだったように、会社を辞めて専業主婦になったり、転職したりというのが多いケースだと思いますし、私も覚悟はしていました。

その覚悟を持ったうえで、アルバイトでもいいから続けさせてもらえないか交渉しよう、という2軸があったので、沖縄に行くことも決意できた感じです。

コロナ禍でリモートワークが続いている状況もありますし、TAMに入社してから自分にもできることが増えた今、このままキャリアを犠牲にしたくなくって。「とりあえずなにかさせてもらえないかな」という気持ちでいました。

-沖縄移住を決めた後、チームリーダーにはどのように伝えたのでしょうか?

村上:飯田さんとプロデューサーの小栗朋真さんとの、3人のミーティングで言おうと思っていたんですが、そのミーティングが2~3回延期になったためになかなか言えませんでした。

ただ、そろそろ沖縄で住む家も決める段階になり、「もう言わないとヤバい」と思って、Slackで2人に報告することにしました。

村上:あの、ご報告といいますか、お伝えしないといけないことがありまして、実は旦那の仕事の都合で4月から沖縄に引っ越すことになりました。私としてはリモートで構わなければ引き続きぜひtamunoで全力で働かせていただきたいと思っております。働き方などまた来週ご相談させていただければ幸いです。
飯田:沖縄!?w
小栗:おれも連れてって!

村上:小栗さんの「おれも連れてって!」には拍子抜けしました(笑)。本心としては「なんで急に言うねん!」みたいな感じだったかもしれませんが、いろいろ気を遣って言ってくれたんだと思います。それで、仕事で不安に思われないような仕事ぶりを発揮しないといけないな、と。今もそうですけど。

-このとき、飯田さんはどんな気持ちでしたか?

飯田:「めっちゃ突然言うやん!」みたいな(笑)。ただ、TAMではもうすでにコロナ禍でリモートワークが普通に進んでいて、どこから仕事をしても一緒だったので、「あ、沖縄行くのね」という感じでした。「めっちゃいいやん」という気持ちも込めて。

-実際に沖縄での仕事が始動する前、お2人は「仕事上の懸念」を感じましたか?

村上:ディレクターなのでお客さまに会う必要がある場合もありますし、新規案件を作るという面でも、直接会ってコミュニケーションを取ることは重要。そういうときに迅速な対応が難しくなるのを懸念しました。

もちろん、「来て」と言われればすぐに飛んで行く気持ちでいますが、「今日御社に伺います」というような、柔軟な対応が今までのようにはできなくなるので迷惑をかけてしまうかな、と。

飯田:たしかに、村上さんはクライアントと対面で話して気に入られるタイプだったので、フルリモートになると実力が十分に発揮できるだろうか、という点は気になりました。

また、当時は、自分自身で仕事のクオリティをチェックする力がもう少し育つといいな、とも思っていました。例えば、仕事の8~9割を村上さん自身がやって、だけど「本当にこれでいいのか分からないので見てください」と、僕や小栗さんに頼ってしまうところがまだ残っていたというか。

-そのタイミングで沖縄移住の話を伝えられたことについては、どう思われましたか?

飯田:それでも、ネガティブな印象は全然ありませんでしたね。遠方で仕事をするのを逆に「チャンス」と捉えて、離れたなりに工夫して成長してほしいと思いました。

クライアントや僕たちチームメンバーとも物理的に距離が遠くなると、思うようにプロジェクトが進まないことも出てくると思うし、上司に気軽に確認できなくなるので、その分自分で考えて動けるようにならないといけない。

それに、今までは近くにいたから仕事を振られていたものの、今後は自分から仕事を取りにいったり仕事を作ったりしないとそのうち仕事がなくなる。だから、遠くからでも「私にできますよ」とアピールをして、どんどん仕事を大きくしていけるようにしよう、という話をしました。

-村上さんは「もしかしたら仕事が減ってしまうかも」という不安はありましたか?

村上:それはあったかもしれないです。物理的に距離が離れることで、結果的に私に対してチームのメンバーが心の距離を感じ、「なにをしているか分からない人」と感じさせてしまうかもしれない、と。なので、「沖縄だけど、ちゃんといるよ!」みたいな、存在感を出すように意識しています。

そのために「リソース管理シート」の運用をチームに提案しました。チームメンバーがなにをしているかを可視化することで、だれがどれだけ手が空いているか、どんな仕事が入りそうかを、私だけじゃなくチーム全体として相談し合える環境にしようと。

また、Slackの全社向けの案件共有チャンネルで、自分が企画・制作に携わったサイトなどをシェアするなど、積極的に自分の活動や行動を周知するよう心がけています。

沖縄で変わったマインドセット

-村上さんが沖縄に引っ越してから、お2人は対面では会っていないんですか?

飯田:1回だけ会いましたね。でも、今コロナでみんな会社にいない状態で、たまにポツリポツリだれかと会社で会うという感じなので、「今日はたまたま村上さんがいた」ぐらいの感じでした(笑)。

しゃべろうと思ったらSlackでいつでも会話するし、朝礼や週1回のミーティングもあるし、週に何回かはかならずカメラ越しに話しています。なので、「すごい久しぶり」という感じでもない。

「1on1」的なことも、まわりに人がいないところでオンラインで話せばいいので、直接会わないと話しづらい、ということもそんなにないですね。

-朝礼などもやっているんですね。

村上:基本的に毎朝10時から、メンバー3人で今日やることを5分間共有する時間を設けています。

あと、若手だけで月に1回「振り返り会」を行ったり、他のチームのメンバーとのランチ会に参加するなど、お互いの近況をシェアしあえる機会を大切にしています。

-実際に沖縄での仕事が始動して、村上さんのスキル面での成長はありましたか?

飯田:スキルが伸びたというよりは、マインドセットが変わった気がします。沖縄移住してから村上さんは「自分で考えて動くようになった」。すごく大きな成長だと思っています。

例えば、村上さんと僕が一緒に担当している案件に関して、僕がしばらく目を離していた際も、村上さんは自分でどんどん進めてくれていたし、問題があったときはアラートもちゃんと伝えてくれるのが分かっているので、不安はなく、信頼しています。

-村上さんご自身も沖縄移住後にマインドセットの変化を感じることはありますか?

村上:飯田さんが全部まかせてくれているのが一番大きいと思います。まかせてもらっているので、最後に決めるのは本当に自分しかない、という気持ちで。

「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」を意識して進捗の共有はしていますが、自分で判断して進められるところはどんどん進めようと努力しています。

飯田:「もうまかせないといけない」というタイミングと、沖縄に移住することから「まかせざるをえない」タイミングが重なったので、うまくいったのかもしれませんね。

-沖縄に移住されてから、クライアントとのやり取りはいかがですか?

村上:クライアントも私が沖縄にいることを受け入れてくださっていて、台風が近づくと「大丈夫?」と言ってくださったり(笑)。ありがたいです。

幸いにもコロナ禍でお客さまもオンライン会議を推奨されていることもあり、オンラインで対応させていただいています。事前にアジェンダをお送りして、当日も見やすいように画面共有するなど、みなさんがオンラインで打ち合わせしやすい状況を作るように心がけています。

キャリアをあきらめないという選択肢

-沖縄に引っ越してよかったですか?

村上:沖縄という土地自体を私は気に入っています。ここに来てからは、海や空を眺めたり、鳥の声をじっくり聞く時間が信じられないくらい増えました。人生でこんなにも自然を感じたことはなかったと思います。

すごくパワーを感じる土地なので、人生において沖縄に住む機会があったのはよかったな、と感じています。

-読者がこれから移住するにあたって大切なことはなんでしょうか?

村上:一番は、どこに行っても変わらない仕事をすることを心がけることだと思います。

例えば、「相談がある」と言われたら、いつでも電話やオンラインですぐに対応したり、自分がちゃんと仕事をしていることを可視化してシェアしたり。当たり前のちょっとしたことですが、どこでも変わらず仕事ができることをアピールするマインドは大事なのかな、と思います。

-沖縄に移住した今、今後のキャリアイメージは?

村上:今回の経験を踏まえて痛感しているのは、人生のライフイベントなどによって、キャリアをあきらめるのではなく、続けるという選択肢があるということ。そして、そのライフイベントをポジティブに捉えることができるということ。

将来は大阪に戻ることもあるかもしれませんが、家庭や自分自身の健康問題など、リモートワークをせざるを得ない状況というのは今後も十分にあり得るので、「リモートでも安心してまかせられる」と思ってもらえるように、これからも頑張ります。

株式会社TAM ディレクター 村上祐香
1994年生まれ。新卒で金融機関に入社、営業を経て中途でTAMへ。TAMに来て一番のギャップは、会社の飲み会で乾杯と締めの挨拶がなかったこと。日々、常識を打ち破られている。
[取材] 岡徳之 [構成] 山本直子 [撮影] 藤山誠
株式会社TAM's job postings
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