one visa は全社的にリモートワークを推奨しています。こちらの記事でも紹介していますが、特に開発チームは平均で週2回程度しか出社しません。
また、勤務体系はコアタイムなしのフレックスで、柔軟な働き方を推奨しています。
リモートワークやフレックスは「働きやすそうでいい制度」という印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。私はこれに関して概ね同意しつつ、注意すべき事項も多い制度だと考えております。
客観的な事実として、リモートワークでは通勤時間がなくなるため、従来と同じ稼働量を確保する場合の拘束時間は短くなりますし、台風や雪の日は出社する必要がありません。
また、フレックス制は、結婚していたり、子持ちのメンバーからは「子供を送り迎えできる」「家族とご飯を食べられる」など、非常に好評です。
一方で、弊社が運用しているリモートワークやフレックスは「楽ができる制度」ではありません。
また、組織として高い運用スキルが求められ、業務の高度なオペレーション化、成果に紐づく評価制度が実現できていない場合、メンバーのプロフェッショナル意識の高さに依存することとなります。
「あの人はちゃんと仕事しているんだろうか」という疑心暗鬼が始まった瞬間にリモートワークやフレックス制は組織を蝕み始めます。これはなんとしても避けなくてはいけない。
つまり、リモートもフレックスも、
「なんとなく流行っているから」という理由で導入すると生産性が上がるどころか、下がってしまうと思っています。いわゆる諸刃の剣です。
それでも、 one visa は約1年間リモート推奨とコアタイムなしのフレックス制を運用してきて、これこそ次世代の働き方だと感じていますし、もっとこうした働き方が広がってほしいと願っています。
なぜなら one visa は「世界から国境をなくす」をミッションに掲げる会社であり、国境のない世界とは本質的には国籍の差異に限らず「多様性を受容する世界」であるため、「子育てをしている人」「家族を大切にしたい人」「親の介護をしている人」など、あらゆる多様性を受け入れることを組織として体現していく必要があると考えているからです。
リモートワーク・フレックス制の運用ルール全公開
one visa は、リモートワークとフレックスを円滑に運用していくにあたって運用ルールを明文化しています。また、制度の「前提」「目的」「心構え」も明文化して全社員と共有しています。
本記事では、社内向けに作られたドキュメントを特別に全公開します。
前提
- one visa は成果に対するコミットメントを評価する組織である
- 随時、評価制度を定めて成果と評価は連動される
- 成果の形は職種によって異なり、必ずしも成果物だけを指すものではない
- (ex)営業時間中に顧客からの問い合わせに即時対応できること、など
目的
- 原則として、リモートワークは成果を最大化するための手段である
- (ex) 通勤の時間が不要になり、開発に集中することが出来る
- (ex) 台風、大雪のときに出社する必要がなく、タスクに集中できる
- また、 one visa は「利益と人の幸せを天秤にかけたとき、迷わず幸せを選ぶ組織」であり、家族の体調不良、育児など、その人の人生にとっての重要事項を守るための手段としてのリモートワークは推奨される
心構え
- 対面でのコミュニケーションのほうが効率が良いケースは必ず存在する
- 従って、メンバーから対面でのMTGを打診された場合は、必ず快諾すること
- 「MTGの為に出社するのだるい」という雰囲気を出してはいけない
- リモート推奨という働きやすい文化を継続していくためにも、運用ルールはしっかりと守ること
- リモートワークやフレックスでの業務など one visa が提供する働きやすさは、チームに約束している成果にコミットしている限りにおいて正当化されるため、チームに約束している成果にコミット出来なかった場合には、そのプロセスをメンバーから指摘される責任を負うことを理解し、業務を遂行すること
プロセスではなく成果へのコミットの評価が前提
解説
one visa は、全社員に対して「プロセスではなく成果へのコミットメントを評価する」とアナウンスしてコンセンサスをとっています。
リモートワークやフレックスで組織課題になりがちなのは
「今日会社に来ていないあの人は、ちゃんと仕事しているんだろうか」
「全然仕事していない(ように見える)のに給料もらっててずるい」などの疑心暗鬼だと考えています。
この問題の背景にあるのは、体に染み付いた「プロセス重視の考え方」です。
つまり「社員はみんな一様に1日8時間会社に拘束されないといけない」という考え方です。
肌感として、先進的な企業に在籍したことがある人を除いて、多くの人がこの考え方を持っています。私自身上述のようなシーンを数多く目にしてきました。
これを防ぐために有効なのが成果主義です。成果主義でわかりやすいのは完全歩合制の保険のセールスなどですね。しかし、成果主義は成果主義で問題を孕んでいます。
一般的な成果主義は、職種との相性があります。相性がいいのは商材が確立され、売り方も確立された会社のセールスなどです。
売れれば利益が出て、誰でも売れる状態が確立されていれば、売った数→売上(と利益)→貢献なので、評価制度との連動も比較的しやすく、非常にシンプルです。
一方で、バックオフィス業務など売上と直結しない業務との相性は良くないです。
そこで one visa では成果物や売上のような数字だけでなく、「チームに対して約束した成果を遂行すること」を成果と定めています。
例えば、営業数字を追うことなどはもちろん成果に入りますが、それに加えて
・MTGを依頼されたら快諾する
・営業時間中に電話に出れるようにする
・月初○営業日までに経理を締める
などを求める成果に含みます。
つまり、例えば経理の人であれば、
・業務改善のMTGを打診されたら快諾する
・月初○営業日までに経理を締める
・オフィスにかかってきた電話に対応する
・小口現金を管理する
・etc…
のように求められる業務が言語化され、これらの業務をこなしている限りにおいて、リモートワークをしても、子供の送り迎えをしても、家で家族とご飯を食べても問題にしない、とメンバーの合意をとっています。
一方で、コアタイムなしのフレックスだからといって有給を取らずに「1日遊んでいる」というようなものは許されません。
なぜなら、すべての職種に対して「勤務時間中にメンバーからの問い合わせや相談があった場合には対応できること」を求めているからです。
そのため、私用で抜ける時間帯がある場合には全社員が共有しているカレンダーでメンバーに共有する必要がありますし、遊びに行く場合は休みをとってくださいとしています。
働きやすさは会社から与えられるものではなく、自分たちで勝ち取り、守っていくもの
働きやすさに関して、会社として大切にしている価値観が以下の一文に現れています。
「働きやすい文化を継続していくためにも、運用ルールはしっかりと守ること」
大前提として、 one visa には今の所「少しでも楽をして給料を貰おう」と考えているメンバーは一人もいません。全員が「いい仕事をして会社を成長させよう」と考えています。
リモートワークに関して議論する場で、メンバーから出た
「以前働いていた会社でリモートとフレックスを導入したが、結果的に業務へのコミットメントが落ちてしまってすぐに制度が廃止になってしまった。今の働きやすさを維持するためにも、運用ルールをしっかり守っていきたい」
という言葉が非常に印象的でした。
働きやすさは、会社から提供されるだけのものではなく、メンバーで一緒に守っていくものだという認識を全員で持つことは、働きやすさを担保する上で非常に重要だと思います。
リモートを推奨するからこそ対面を疎かにしない
あと、逆説的ですが「リモートより対面の方が効率がいいことがある」というのも事実です。
one visa ではオンライン会議は zoom か Slackコールを使っていますが、物理的にホワイトボードを使って話した方がディスカッションが捗ったり、センシティブな話をする時に画面越しでは細かなニュアンスが伝わりにくいケースもあります。
また、1対1のオンライン会議は問題なくても、3人以上の会議、特に2人以上の参加者が同じ空間にいるようなオンライン会議はまだまだやりにくいです。
参加者10人の会議で9人は1つの会議室にいて1人だけリモート、みたいな場合は、現場のディスカッションのスピードについていくのが結構しんどいです。
さらに、同じ空間にある複数のPCで同時に会議システムにつなぐと、ハウリングしたり声が遠かったりと課題が多く、定例の共有会くらいには耐えられますが、リアルタイム性が求められる激しいディスカッションには向きません。
なので、心構えとして、メンバーに対面のMTGを打診されたら快諾するように定めています。あくまで成果を出すことが目的なので、このへんはチームの中でも納得感があります。
一方で、必ずしも対面である必要がないMTGに関しては、ほとんどがオンラインで実施されています。
運用ルール
前置きが長くなりましたが、 one visa ではリモートワーク、フレックスに関して以下の運用ルールを定めています。
リモートワーク時の私用に関して
- チームと約束している成果にコミットしている限りにおいて、業務時間内に発生する私用は問題としない
- ただし、チームと約束している成果にコミット出来なかった場合に、私用の有無等はチームのメンバーから指摘される責任があると同時に、成果にコミットする為に努力しなくてはいけない
- また、チームに約束する成果は、成果物の納品に限らず「問題解決のためのMTGを打診された際に快諾する」といったものを含み、計画の段階で定めた目標を達成さえすれば、全休にして良いといった類のものではない
体調不良時のリモートに関して
- 原則、体調不良によるリモート勤務は不可
- 積極的に傷病休暇もしくは有給休暇をつかって休む
情報共有に関して
- 外出の予定や会議などは全社に共有されているGoogleカレンダーに登録し、常に最新の状態で運用することで周知を図る
- 全社員入社時に、Slackに自身のTimesを開設し、離席時はその旨を自身のTimesに更新する
- チーム・会社に約束する成果は、週次で全体に共有をする
- リモートワークを実施する際は、原則週の初めまでにチームに共有する
稼働時間に関して
- チームに約束している成果にコミットしている限りにおいて、1日の稼働時間が8時間を上回る、下回ることは問題としない
- ただし、成果の形は職種によって異なる。また、必ずしも成果物だけを指すものではなく、「営業時間内にメンバーからの相談に即時対応できる」といった、時間の制約を受けるものを含む
- 従って、チームに約束している成果にコミットしている限りにおいて、午前リモート業務後出社、午前出社後リモート業務といった形態は問題としない
解説
ほとんど書いてある通り&背景にあるのは前段でお話した心構えの考え方なのですが、体調不良時のリモートワークの禁止と情報共有に関しては重要なので解説を加えます。
体調不良でリモートは不可
主観ですが、ルールが明確に引かれて全員のコンセンサスを取れている場合を除いて、体調不良を理由にしたリモート業務は会社の雰囲気を壊します。
会社休むほどじゃないけどだるいとか、朝起きたらまだ眠いとか二日酔いとか、そういうレベルでリモートが免罪符に使われだすと制度の崩壊は近いと思います。
「体調不良だけどリモート」と言っておくことで、なんとなくやってます感を出すことができる一方で、対応が遅れたり、対応ができなくても体調不良だから、という風に逃げることができるためです。
one visa のスタンスとしては、「体調不良なら休んでください」です。
そのために傷病休暇も四半期に2日まで設けていますし、インフルエンザ公休も用意しています。当然、有給を使いにくい雰囲気は一切ありません。
一方で、喘息や重度の花粉症など、慢性的な持病に関しては応相談の余地も残しています。慢性的な持病を持つ方にとっての体調不良にはグラデーションがあり、そうした不調と向き合っている方を否定したくないからです。
外部の人と重要な打ち合わせがある場合を除いて、体調不良の時に無理に仕事をしてもいいことありません。仕事の能率は悪いですし、休もうにも仕事が気になって寝れません。
「軽く体調不良だけどリモートで軽く流します」といったスタンスでの仕事は会社としては原則許容しません。
体調管理をしっかりするのは大前提で、体調が悪いときはしっかり休んで、早く回復してくださいというのが one visa の基本スタンスです。
情報共有はスクラムで
また、リモートワークを運用する上で情報共有は非常に重要です。
これは単純に同じ空間にいないので、相談したい時にいつ声かけていいかわからなかったり、チームで共同プロジェクトを行っている場合に進捗が掴みづらかったりするからです。
one visa はまだ少数組織で、チーム体制になってプロジェクトを回しているのが開発チームだけなので開発チームの事例になりますが、スクラム開発の手法をとることで解決しています。
スクラム開発の話だけで記事が書けてしまうので本記事では割愛しますが、まずスプリント計画を立てることで、メンバー各々はチームに対して自分のコミットメントを示します。
その上で、デイリースクラムという日次共有会と、二週間に一回のスプリント振り返りを行うことで、チーム内の進捗共有及び課題の相談を円滑に行っています。
基本的に、メンバー全員が会社から受け取る報酬は、フルタイム正社員雇用の場合、1日8時間×5日で稼働した場合にその人が出せると期待されるアウトプットに基づいて算出されています。
従って、スプリント計画を立てるときにはメンバーそれぞれが自分の能力を最大発揮して週5日働いた場合、どの程度コミットできるかを元に計画を立てます。
みんな同じ稼働量で、仕事が早い人は早く仕事が終わる、ではありません。能力が高い人はその分多くの稼働、もしくは難易度の高い貢献が求められます。なぜなら、その貢献を期待したうえ上で報酬額が決まっているからです。
そして、問題になるのはこの約束したアウトプットに対してコミットできなかった場合です。リモートやフレックスを導入していることで、プロセスを問わないとしているため、成果へのコミットは絶対です。
例えば、その週は有給以外の私用で稼働が減った、等の場合はメンバーから咎められます。
思ったよりタスクが複雑だったため進みが悪かったのか、稼働が減っていたのかは一緒にプロジェクトを進めているメンバーから見れば分かるものなので、今の所はこのやり方で上手くいっています。やはり前提にあるのは高いプロフェッショナル意識です。
リモート推奨だが強制ではない。出社したい人もいるので選択肢として提示できることが大切
リモートワークは非常に優秀な働き方ですが、向き不向きがあります。
私は家で集中できないタイプなので、日本にいるときは週五で出社しています。
快適なWi-Fiや空調、大きなディスプレイがある環境で仕事ができるってかなり恵まれていると思うんですよね。
また、 one visa には家に子供がいて仕事に集中できないので出社したいという人もいます。前述した「送り迎えができて助かる」みたいな意見から、リモートと子育ての相性は良いと思っていますが、万能ではないと思っています。
だからこそ、 one visa では完全リモートという形は取らず、出社もできるしリモートでもよい。必要に応じて対面を求めるというスタンスでやっていますし、これはこれからも続けていきたい大切な文化です。
働きやすくもあり、厳しくもある one visa ですが、ご興味お持ちいただけた方は是非お気軽にご連絡ください!
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