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ノーベル賞衰退期を迎える、日本の研究力

こんにちは!株式会社POLインターン生の伊藤です。

これまでの記事では日本の研究領域を取り巻く課題として、ポスドク問題と、理系学生の就活の機会損失について取り上げてきました。今回の記事ではそれらの課題の根本に位置する日本の研究力の低下をテーマに記事を書いていきたいと思います。

私たち一般人には、「日本の研究力」という大きな問題は一見すると馴染みのない話かもしれません。
しかし少し大袈裟な書き方をすると、学術研究は私たち人類の未来を拓き、社会発展の基盤となり得るものです。私は100年後の世界を豊かにするイノベーションは、研究室から誕生すると考えています。

「未来を加速する」というミッションをもつ株式会社POLも、ミッション実現のためには研究者を支援することが重要であると考えます。

一般の人たちは驚かれるかもしれませんが、近い将来、日本のノーベル賞受賞者が途絶える可能性が出てきました。

国家の研究力の指標となる、論文の「量」と「質」


一般的にその国の研究力を示す指標として用いられるのが、論文の「量」と「質」です。
他に特許数や大学ランキング、人材の流動性などが用いられることがありますが、本記事では主に論文に着目して議論していきたいと思います。

論文の「数」は、研究活動の成果物として大学や研究機関から産出されるものがカウントされます。
大学は全体の論文の約7割を産出しており、日本の研究において非常に重要な役割を担っています。

また、論文の「質」を示すのが被引用数です。ジャーナル(学術雑誌)の場合、これをインパクトファクター(IF)と呼び、インパクトファクターが高いジャーナルほど「その論文が多くの研究に影響を与えた」という評価がなされます。皆さんも、NatureやScienceといった超一流雑誌の名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

これら2つの指標を見てみると、日本は論文の「数」の伸び悩みが見られ、この現象は主要国で唯一のものです。 また論文の「質」の指標となるTop10%補正論文数は、中国の台頭によって低下傾向にあります。

世界を代表する論文誌Natureでも、日本の科学研究の水準が低下している問題が取り上げられ、話題になりました(Nature Index 2017 Japan)。


少し別の切り口で日本の研究を見てみましょう。
世界で被引用数が上位1%の論文を分析することで、国際的に注目を集めている研究領域を可視化したサイエンスマップというものがあります。

このサイエンスマップでは、近年注目を集めている研究分野として、人工知能(AI)に関連する研究領域が数多く出現していることが確認できました。

しかし、この分野における日本の論文数は非常に少なく、サイエンスマップに出現しているものはたった1論文のみでした。これらの領域において日本は完全に出遅れていることがわかります。

日本の研究力はなぜ衰退しているのか?


日本の研究力が低下した原因は何でしょうか?それは、国からの研究予算の伸び率の低下です。
上図で示されているように、日本の研究予算は2001年からほぼ横ばいの状態が続いています。

まず前提としてお伝えしたいのが、日本の研究費のレベルは決して低くはないです。
しかし米国や中国と比較して相対的に下がっています。米国の研究開発費には到底およばず、大幅な研究費拡大を図る中国との差も広がる一方です。

そして研究予算の停滞によって、より顕著になったのが大学の雇用と研究環境に関する問題です。

日本の多くの大学では長期雇用の職位の数が少なく、多くの職員は任期付きの契約で雇用されるようになっています。これにより研究者が長期的な研究に取り組める環境が損なわれてしまいました。
これがいわゆるポスドク問題です。これについては別記事でも取り上げたので、是非ご覧ください。

そしてもう一つが研究環境の低下です。
研究というのは、一発良いアイデアが思いつけば、論文が書けるという簡単な世界ではありません。
影響力の大きい論文誌に投稿するには、研究を地道に積み重ねていく継続性と、そのアイデアを形にするための優れた研究環境が必要になります。

海外との差を埋めるためには、研究者の数を増やし、彼らが存分に研究に打ち込める環境をつくる以外に方法ないと考えています。


近年急速に研究力を高めたモデルとして、中国の例を見ていきます。
20世紀末まで中国の研究力は、米国や日本に大きく後れをとっていましたが、今世紀に入ると急速に発展し、日本を追い越して欧米に迫る勢いです。
上図の通り、特許の出願数だけ見れば世界を牽引しているのは中国です。

その原因として挙げられるのが、豊富な研究資金と人材の流動性向上のための「海亀」政策です。
「海亀」政策とは、優秀な人材を米国や日本などに大量に送り込み、経済発展がした頃に、優れた成果を挙げた研究者に帰国を促した政策のことで、現在でもこの人材循環システムは有効であると聞きます。

日本のアカデミアは中国を見習うべきであるとは思いませんが、ランキングが相対的な評価である以上、海外の大学の動きに合わせて私たちも同様に変わっていかなければならないと考えます。

日本の研究の将来を担うために

他国が研究予算を増額している中、研究領域以外の問題も多く抱える日本では大幅な研究予算の増額が行われる可能性は低いと考えます。
また単にお金を投入すれば解決するという単純な話ではなく、日本の研究を担う大学というシステムを根本から見直す必要があります。

研究人材の雇用流動性の向上、大学と企業の共同研究の推進、研究機器の効率的な利用、実験記録のアナログな管理方法の減少などを本気で解決していかなくては、仮に研究予算が増額したところで何も状況は変わりません。

「研究者の可能性を最大化するプラットフォームを創造する」をビジョンに掲げる株式会社POLでは、この研究領域の課題に対して様々な角度からアプローチしています。


その一つが『LabBase plus』です。
『LabBase plus(ラボベース プラス)』は理系技術職の第二新卒採用サービスです。データベースには、AI・ロボット・セキュリティ・宇宙・IoT・ナノテクノロジー・次世代通信・AR/VR・エネルギー・バイオテクノロジーなど最先端の専門スキル・研究バックグラウンドを持つ理系第二新卒が登録しており、採用担当者の方は、研究プロフィールや参加プロジェクトなど理系技術職に特化した詳細情報を閲覧しスカウトを送ることができます。
LabBase plus: https://plus.labbase.jp/

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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