1
/
5
This page is intended for users in Hong Kong. Go to the page for users in United States.

「人の可能性を広げたい」アボリジニの生活支援を経てカタリバへ転職したわけ

※この記事は、2021年1月29日に、認定NPO法人カタリバのオウンドメディア「KATARIBA Magagine」に掲載したものです。Wantedlyからカタリバを知ってくださった方にもぜひ読んでいただきたい記事のため、転載しました。

カタリバが運営する「カタリバオンライン」は、コロナ禍に生まれた新サービス。子どもたちの意欲と創造性を育むオンラインサードプレイスです。

カタリバオンラインの職員・後藤諄は、もともとはオーストリアの先住民であるアボリジニの健康促進や生活改善に取り組む団体に勤めていました。そんな彼が帰国後に、なぜカタリバを選んだのか、その背景を聞いてみました。

認定NPO法人カタリバ カタリバオンライン
後藤 諄
1992年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、総合人材サービス企業に就職し人材派遣事業の営業職を担当。退職後、オーストラリアにて先住民族アボリジニの健康促進や生活改善に取り組んでいる団体に入社。帰国後、カタリバに入職し、コロナ禍に自宅で過ごす小学生向けのオンラインの居場所「カタリバオンライン for Kids」を担当。

「そこでしかできないこと」を求め、アボリジニの村へ

ーまずアボリジニのコミュニティで働くことになった経緯から教えていただけますか?

もともと海外で働くことが夢でした。ワーキングホリデーの制度を活用できる年齢制限だったり、帰国後に転職活動する年齢だったりを考えた結果、人材系企業の退職を決意。「とりあえず3年は働いてみよう」と思っていたこともあり、タイミングとしては最適でした。

ー不安はなかったんですか?

あったかもしれませんが、「一歩踏み出してみたい」という気持ちのほうが強かったですね。学生時代にバックパックで東南アジアへ行ってボランティア活動をした経験が忘れられなくて。たとえば、フィリピンに滞在していたときに寝泊まりしていたところには明かりやベッド、シャワーがないんですよ。日本じゃ信じられないじゃないですか。そういう環境に身を置いていると「“生きている”って当たり前だと思っていたけど、当たり前じゃないな」と思うようになって。「自分の常識が覆され、価値観をガラッと変えられる環境に、もっと長く滞在していたい」と思い、海外へ行くことを決めました。

ーでは、なぜアボリジニだったんですか?

オーストラリアは、治安や働きやすさ、あとはぼく自身の語学力などを総合的に判断して決めました。ただ、仕事先はすごく悩みましたね。ワーキングホリデーって、日本食レストランやカフェで働くイメージがあるかもしれないんですが、20代の大切な1年なので「オーストラリアでなければできないこと」に費やしたかったんです。

そこで、いろいろと求人情報をチェックしていたら「先住民族・アボリジニの村で働きませんか?」という広告を見つけて、「ああ、ここだ! ここしかない!」と。具体的な仕事内容はよくわかりませんでしたが、とりあえず足を運んでみることにしました。

ーすごいフットワークですね!
 具体的な仕事内容はどうだったんですか?

アボリジニの健康促進や生活改善のサポートです。アボリジニの方たちもかつては狩猟民族でしたが、時代の流れとともに生活スタイルが変わり、菓子や清涼飲料水などもたくさん摂取するようになって健康状態が悪化してきていたんです。

ぼくはアボリジニ向けに野菜や生活用品を販売している店舗、日本でいうコンビニのような場所で接客したりレジを打ったりしていました。

村を訪れた初めての日本人だったこともあってか、最初は無視されたこともありましたが、とにかくコミュニケーションを取るようにしたら、だんだん心を開いてくれるようになって。閉店後に「家に遊びにおいでよ」と招待されたこともありましたし、子どもたちと一緒に遊んだこともありました。最終的には、かなり仲良くなれたと思います。

(アボリジニの村で槍を作る「槍職人」のご自宅を訪ねたときの写真)

教育に関わる意義、そして責任

ー1年後に無事帰国、当時は新型コロナウイルスが流行し始めたタイミングですよね
 カタリバへの入職は決めていたんですか?

次のキャリアのことは「日本に帰ってから考えよう」と思っていました。いざ帰国したらコロナウイルスが流行し始めた時期と重なって、さすがにびっくりしました。

ただ、予測不可能な現実に直面したことで「自分が本当にやりたいことってなんだろう」と徹底的に考えるようになりました。おかげで原点回帰できたんですよね。自分が会社勤めのときから大事にしていた「人の人生に寄り添い、その人にとっていいキッカケになってほしい、その人の可能性を広げたい」という想いがより一層強くなって。

そこで頭に浮かんだのがカタリバでした。カタリバのことは大学生時代に「ボランティア学」の講義で紹介されたことがあって活動内容は知っていました。また会社員時代にも、社会課題の解決に取り組むソーシャルセクター(NPOやNGOなど)関連のフォーラムでカタリバを見かけて直接話を聞いたことがあったので、一度思い浮かんだら、もう迷いはなかったですね。「カタリバしかない」と。

ー未経験で教育業界へ飛び込むことに、不安はなかったですか?

もちろんありました。でも、それ以上に、子どもたちの人生に深く関われる仕事への期待感や責任感のほうが大きかったですね。

ぼくは高校時代サッカー部に所属していたんですが、当時の監督から言われた「自分の弱みを克服するのも大事だけども、自分の強みを把握してそれを伸ばすことが大切だ」という言葉がすごく胸に残っていて、いまの軸にもなっている。「人生を変える」なんておこがましいことは言えないけれど、ぼくにとっての監督の言葉のように、ぼくが関わっていくことで彼ら・彼女らの人生にひとつのキッカケを与えられたら嬉しいと思います。

ー現在は、どういった仕事をされているのでしょうか?

「カタリバオンライン for Kids」を担当しています。小学生向けの“オンライン上の居場所”ですね。子どもたちの意欲と創造性を育むためにプログラムを企画・実践する毎日です。

具体的なプログラムとしては、子どもたちにとって気軽に話せる安心安全な場所の「フリートーク」や、専門的な経験を持っていたり職業に就いていたりするひとがプログラムを行なう「師匠プログラム」、子どもたち自身が講師役になってプログラムを実践する「子ども師匠」などなど。子どもたちが気づきを得られるものから子どもたちがやりたいことを形にしたものまで、多岐にわたります。

ぼく自身は、海外旅行が好きなので、その経験をいかして世界の文化や暮らしを紹介するプログラムを企画しています。そのプログラムに参加してくれた子どもたちが、世界に興味を持ったり、「世界中の子どもたちと友達になりたい」といってくれたり、「将来は世界一周をしたい」とキラキラ語ってくれたりするのを見ていると、とてもやりがいを感じます。

カタリバの魅力は、圧倒的なスピード感

ー現在の仕事のおもしろさはどのような点でしょう?

子どもたちの成長が目に見える点ではないでしょうか。保護者の方から「最近明るくなった」というような連絡をいただけると嬉しいですし、何より当初はオンラインでの発信が苦手で画面もオフの状態だった子どもが顔を出して積極的に発信するようになったシーンを目の当たりにすると感動すら覚えます。

ぼくは子どもたちに成功体験をたくさん積んでほしいと思っています。成功体験というと何か大きなプロジェクトを成し遂げるような経験をイメージするかもしれません。でも、「画面オフが画面オンになった」や「失敗を恐れず発言できるようになった」も充分な成功体験だと思うんですよね。少しずつ、一歩ずつで構わないから、徐々に自信をつけて、自分のやりたいことが見つかったとき挑戦できる子どもたちを増やしていきたいと思っています。

ーでは、逆に難しいと感じるのはどのような点ですか?

大きく分けて2つあります。1つは「正解のない仕事であること」ですね。カタリバオンラインは、昨年の全国一斉休校の発令を受けて数日後に立ち上がった、新しいサービス。なのでサービスそのものに対してもまだ正解がなく、みんなで日々試行錯誤を重ねてより良いサービスにしていこう、という段階です。またプログラム企画の観点からいっても、勉強がしたい子、ワイワイと遊びたい子、ゆっくりお話しがしたい子、いろんな興味関心とニーズを持った子どもたちとご家庭に登録いただいているので、ある子どもにとっては価値を発揮したプログラムであっても、別の子どもに同じように価値を発揮するとは限らないんですよね。だから、とにかくいろいろなアイデアを出して、トライ&エラーを繰り返していくしかありません。同時並行で「次これやってダメだったら、次これやろう」と脳みそに汗をかきながら、毎日を過ごしています。

もう1つは子どもたちとの接し方です。年齢も家庭環境も異なる子どもたち一人ひとりと接していくことは、簡単なことではありません。ぼく個人として大切にしているのは、子どもたちを「否定しない」ということ。カタリバが子どもたちにとって安心安全な場所であり続けるために、彼ら・彼女らが発言や行動をしやすい場づくりは最大限心がけています。

ー会社員を経験している後藤さんだからこそ感じるカタリバの魅力はどのような点ですか?

やはり、圧倒的なスピード感ですね。会社だと何か新しいことを始めようとしても「じゃあ事業計画書出して」と言われて、出したら出したで結論まで1〜2週間かかります。でも、カタリバの場合は、「やりたい」と思ったことをすぐにやらせてくれる。意思決定のスピードがものすごく速いです。「子どもたちのために何かしたい」という気持ちの強い方にとっては、これ以上ない環境だと思います。

ーでは最後に後藤さん自身のこれからについて聞かせてください。

ぼく自身はあまり先のことを考えずに“いまを生きる”というタイプなんです。強いてあげるなら、リアルな「場づくり」に挑戦したいです。カフェなのか、コワーキングスペースなのかは決めきれていないのですが、大人も子どもも気軽に立ち寄れるご近所づきあいみたいなことができる場所をつくっていきたいと思っています。いますぐには難しいかもしれませんが、コロナが収束したらチャレンジしたいですね。

認定NPO法人カタリバ's job postings
3 Likes
3 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
If this story triggered your interest, go ahead and visit them to learn more