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【Meetupレポ】Nature Bath vol.7 環境問題と戦う経営者と「自然との共生」について考える

What's Nature Bath ?

「Nature Bath」とは、毎回様々なゲストをお呼びして各回のトピックについて語り合うMeetupです。カジュアルな雰囲気でインタラクティブに参加者のみなさまと親交を深められるような会にしたいと思っています。森林浴(Forest Bath)からとった「Nature Bath」はMeetupを通して、Natureについても少しでも理解を深めてもらえればという思いで命名しました。

環境問題と戦う経営者「ユーグレナとの共生」

株式会社ユーグレナ 執行役員 研究開発担当 鈴木 健吾
東京大学農学部生物システム工学専修卒、2005年8月に出雲充氏(現ユーグレナ社長)、福本拓元氏(現ユーグレナ執行役員・ヘルスケアカンパニー営業部担当)とともにユーグレナ創業、取締役研究開発部長就任。同年12月、世界初の微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に成功。06年東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。16年東京大学大学院農学博士学位取得。現在、ユーグレナ社研究開発担当の執行役員として、微細藻類ユーグレナおよびその他藻類のヘルスケア部門における利用に関する研究に携わる傍ら、ユーグレナ由来のバイオ燃料製造開発に向けた研究に挑む。

鈴木さん:私は2005年、東京大学農学部の大学院在学中に、ユーグレナ等の微細藻類の研究開発を行う株式会社ユーグレナという会社を創りました。このユーグレナで様々な社会課題を解決できるのではないかと考え、学生時代を入れると18年ほどこの生き物と一緒に生活をしてきました。2020年にはユーグレナからバイオプラスチックを開発。2019年には免疫をテーマに農学・医学博士号を取得しました。現在は、理化学研究所などアカデミックなポジションを借りて、社会課題を多面的に解決することも行っています。最近の私のモットーは、SF(サイエンスフィクション)をノンフィクションにすることです。

会社の名前でもある「ユーグレナ」は、ミドリムシという和名で親しまれていて、植物のように光合成をする性質と、動物のように動き回る性質を併せ持った非常に特徴的な生き物です。ユーグレナは、細胞壁をもたないため、栄養成分の体内に吸収されやすく、また、他の生物にはないユーグレナに特有のパラミロンを多く含んでいます。食物繊維であるパラミロンは、健康への応用が期待されています。また、ユーグレナは酸素のない状況に置かれるとパラミロンを油に変える性質があり、その性質を利用して油を作り・抽出するとジェット機の燃料として使えるのではないかと考えました。化石燃料に頼らないエネルギー生産にも、ユーグレナが貢献できるのではと考え、事業展開を進めています。

また、一口にユーグレナといっても複数の利用用途があります。食品やバイオプラスチックの次の利用用途として、循環型社会に寄与できるのではと考えています。本日のパネラーでもある十河さんとも、FRDジャパンで陸上養殖をする際にユーグレナや他の植物プランクトンを餌にできないかを検討しています。
その他、いくつか新しい取り組みの紹介をさせていただきます。

一つは、ユーグレナがもつ光合成の機能を活用し、二酸化炭素をユーグレナが吸収し、酸素と栄養源を生成することで、宇宙空間における物質循環を可能にするような取り組みです。今後、人類が月など地球の外の別の惑星に移住する際に、活用ができるかどうかの検証を本気で行っています。その他にも、メディカル分野へ研究領域を拡張するため、東北大学と免疫機能の共同研究をスタートしました。ユーグレナ由来の成分が抗体の作りやすさに変化を与えている可能性を中心に、新型コロナウイルス感染症などの感染症対策として、具体的な提案ができるのではと考えています。今後も、低環境負荷・低コスト・安定生産の三つ揃ったバイオマスを提供することで環境と食料問題を解決するサステナブルな未来を目指していきたいと考えています。

海に依存しない完全循環型の陸上養殖事業、商業化への挑戦

株式会社 FRDジャパン COO 十河 哲朗
京都大学農学部を卒業後、三井物産にて水産物の輸入販売を手がける。
2015年に水換え不要の陸上養殖システムを持つFRDジャパンに出会い、FRDのシステムを活用したサーモン養殖を提案。自身もCOOとして参画し、海に依存しない陸上養殖の産業化を目指して奮闘中。

十河さん:私は幼少期から魚が好きで、京都大学農学部で環境問題や魚の研究をしていました。新卒では三井物産に入社し、水産物の輸入販売に携りました。その中でFRDジャパンに出会い、現在は海に依存しない陸上養殖の実現を目指しています。

近年、食料業界では「人口増を支えるタンパク質不足」という問題が注目されるようになりました。タンパク質は基本的な栄養素のひとつですが、牛・豚・鶏等は水や土地が必要なことや温室効果ガス排出の観点から、今後の生産量増加に限界があると言われています。その中で、まだ伸び代がある動物性タンパク質として魚が注目されています。魚を「天然」と「養殖」の二つに分類すると、天然の魚の漁獲量は1985年頃から増えておらず、横ばいで推移しています。天然魚は獲りすぎてしまうといなくなりますので、「漁獲枠」等の運用により限られた資源を大切に活用しているためです。一方で魚の需要は人口増に伴って年々増加してきましたので、そのギャップを埋める形で「養殖」がこの30〜40年で急拡大してきました。

今後も人口増はしばらく継続していくと思いますが、ここで問題になるのは「海面養殖は今までのような急拡大を継続できるのか?」という問題です。最近子供を中心に世界中で人気が出ているサーモン類については、この問題が特に顕著です。サーモン類は世界の養殖量の約8割をノルウェーとチリに依存していますが、どちらの国でも養殖による水質汚染や野生魚への影響等を理由に、新しい養殖ライセンスの発行が難しくなってきています。このため、今後も拡大が見込まれるサーモン類の需要に追いつくためには、海に依存しない陸上養殖が必要だろうと期待されています。

ただし、陸上養殖も簡単ではありません。水質維持のために一定の換水が必要だったり、水温調整にかかる電力代がネックになるなど、いくつか課題があり本格的な普及はしていませんでした。そのような中で、2015年三井物産在籍時にFRDジャパンに出会ったんですね。FRDジャパンでは複数のバクテリアを活用して換水率を極限まで抑えることに成功していましたから、最初に訪問したときには驚きました。ちょうどFRDジャパンの創業者である辻/小泉が「どの魚種を養殖すべきか」と検討していたタイミングでしたので、ここでサーモントラウトを提案しました。辻/小泉もすぐに賛同してくれ、3人でサーモントラウト陸上養殖計画を三井物産に提案。2017年に承認が取れ、FRDジャパンの新しいチャレンジがはじまりました。

このタイミングで自身もFRDジャパンに参画。2018年には千葉県木更津市に実験プラントが完成し、水替え不要の陸上養殖システムでのサーモントラウト養殖事業がスタートしました。その後色々と苦労したのですが、なんとか2019年6月より収穫を開始することが出来ました。2020年には生産/品質も安定してきたので、いよいよ商業規模への拡張をはじめる段階です。「海に依存しない陸上養殖」を確立し、生態系と人間社会の共存というテーマを魚という切り口で解決できるように、引き続き頑張っていきたいと思っています。

IoTプロダクトでクリーンエネルギーへのシフトを加速させる

Nature株式会社 代表取締役CEO 塩出 晴海
13才の頃にインベーダーゲームを自作、2008年にスウェーデン王立工科大学でComputer Scienceの修士課程を修了、その後3ヶ月間洋上で生活。三井物産に入社し、途上国での電力事業投資・開発等を経験。2016年ハーバード・ビジネス・スクールでMBA課程を修了。ハーバード大在学中にNatureを創業。

塩出:弊社はIoTのスマートリモコンを開発販売しているイメージが強いと思いますが、「自然との共生をテクノロジーでドライブする」をミッションに掲げ、IoTプロダクトでクリーンエネルギーへのシフトを加速させることをビジョンに事業を行っている会社です。なぜ自然との共生なのか。それは僕が三井物産に入社する前の3ヶ月の洋上生活に遡ります。夕日がやんわりと海を照らし、風邪は程よく一定のスピードで吹き続けていたが、海は穏やかでした。周りはどこを見ても海しかなく、風に呼応するようにヨットが進む。その繰り返される動作と周りを囲む大自然にただただ感じる高揚感がありました。この時の経験は人間は遺伝子レベルで自然と共生するように創られているのだと僕に気づかせてくれました。また、自然と調和した社会を作りたいという思うきっかけになりました。

一方で、今の世の中は産業革命がターニングポイントとなり大量に生産して大量に消費するモデルで経済が成長し自然と人間の間には距離ができてしまいました。ただ、ものを大量に生産することが幸せだと思っていたところから少しずつ変わり始めているとも考えています。シェアリングエコノミーモデルも台頭し、ものを大量に生産するのではなく、今あるものの稼働率をあげるビジネスモデルも普及してきました。車であればUberで、住まいであればAirbnbがあるように、そのシェアリングエコノミーを電力にも置き換えられないかと考えました。

そこでIoTがキーワードになるのですが、従来の発電は電気の需要に合わせて供給力を準備するという方法でしたが、近年は様々な製品がIoTでインターネットに繋がるようになり、元々制御のできなかった需要側にアクセスできる時代へと変化してきました。そこで、需要側にアクセスすることで電気のピークを平準化し、電気のインフラ自体の稼働率を上げていくことができるのではと思い、家庭の電力需要の半分以上を占めるのはエアコンにアクセスができるスマートリモコンにたどりついたというのが会社の原点になります。

NatureRemoは直近20万台販売台数を突破しました。ホームオートメーションの領域にとどまらず、昨年の末から「Nature Remo E」というエネルギーマネジメントのデバイスの販売をスタートしています。そしてゆくゆくは、これらNature Remoシリーズをマイクログリッドオペレーターとして活用することで、仮想発電所の実現を目指しています。

Talk session

ここからは、ご参加いただいた皆様からの疑問や質問にお答えするトークセッション行いましたので、その一部をご紹介します。

Q.みなさんが考えるこれからの豊かな暮らしとはどのようなものでしょうか?

鈴木さん:永遠の課題ですね。私が考える豊かな暮らしは「知的好奇心が満たされ続ける」ことだと考えています。ご飯を食べられるような経済的な豊かさが満たされたら、自分自身がなんであるか知るとか、世の中のサービスを一通り受けてみるということになると思うので、それを垂直線に落とすと「知る」ということだと思っています。

十河さん:自分の思う豊かさは自然環境に身を置くことですね。釣りの中でも生活圏が広く謎が多い北海道のイトウという魚が好きなので、様々な時期に北海道に行き、釣りという手段で謎を解き明かすのが趣味です。ただ、経済活動が優先されると、例えば貴重な生物の産卵環境が壊されてしまったりします。自然を守り、きれいだなと思ったり、感動できる場所を次世代にも残したいです。

塩出:僕にとっての豊かな暮らしは「自然を感じること」です。将来は、ヨットで地球を肌で感じながら世界一周したいと思っています。お二人のお話しも踏まえて本質的には、時間と労力をかけて楽しめる余裕があるということなのかなと感じました。

Q.将来の展望や取り組みたいことなどを教えてください。

鈴木さん:現在テーマになっていることは、「宇宙への進出」と「再生医療をベースとした不老不死」です。人生の2周目を貪欲に楽しもうと思い様々なことを学び、人生のテーマの大きな主軸にしたいと思っています。研究者としての人生は65歳くらいが限界と言われていますが、再生医療によって研究できる期間も伸び、宇宙にロングステイで行けて、自分自身も太陽系外に行けるようになることを期待しています。
ですので、再生医療が宇宙の進出に繋がるような、物質循環を中心とした閉鎖生態系の構築に自分の時間を使いたいと思っています 。

十河さん:鈴木さんが2周目を既に始められていて羨ましいです。
まだまだ1周目の自分としてやりたいと思っていることは、まずは人々を感動させるような魚を作ることです。魚は多様性が面白いのですが、日本である程度の規模で養殖されているのは経済性の問題からブリ・タイ・サーモン等一部の魚種に限られます。多くの天然魚は養殖できない、或いは養殖しても採算が合わないと整理されているのですが、今後は陸上養殖の活用により養殖魚の幅も広げられるのではと思っています。そうすると食卓が変わり、今は高級魚になってしまっている魚がお手軽に手に入るようになるなどのアイデアがあるので、それを1周目のゴールとして、感動を届けるような新しい養殖を実現したいです。2周目は、環境保全のために何かしたいと考えているので、今はまずそこにいけるように頑張りたいと思います。

塩出:十河さんと同じく僕もまだ1周目を疾走中ですが、まずやりたいことは会社のプロダクトやサービスを通して、人と電気のあり方を違う形で提案すること。そして再エネシフトや、世の中と自然との共生に少しでもインパクトを残したいと思っています。僕の2周目の舞台は海で、海上で自然との共生をドライブしたいと思っています。

おわりに

いかがでしたか。各社ともに人材を積極採用中です!
ぜひ、Natureに興味を持っていただいた方はお気軽にご応募ください。

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また、年内は毎週Meetupを開催予定ですので、ぜひイベントへのご参加もお待ちしています!

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