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今度は自分が”熱量”を生み出す側に

坂口 尚仁(Sakaguchi Naoto)

四万十team / KeyMan
1998年生まれ。長野県出身。学生時代は、小学校2年生から始めたバスケットボールに打ち込み、中学校では県選抜、高校では最高で県ベスト8になる。高校卒業後は、東北大学経済学部に進学。何にも打ち込めない大学生活に物足りなさを感じ、もう一度本気になりたいと思っていたところ、FoundingBaseに出会い、2020年度より町営塾「じゆうく。」でスタッフとして働く。

周りの熱量によって這い上がれた中高生時代

全力でありたい。これが自分の根源的な願いです。そうはいうものの、自分は弱い人間。過去を振り返ってみると、逃げたくなったり、妥協したくなったりした時もありました。そんな時、自分の気持ちに火を付けてくれたのは周りの熱い方々でした。

思い出すのは、中学時代に県選抜に選ばれ、県トップレベルの高校と合同練習をした時のことです。練習時、自分よりも遥かに実力のある選手が膝に手をついて息を荒げている姿を目の当たりにしました。
当時思っていたこと。それは、自分には才能が無いのだから、うまくいかなくても仕方ないということでした。しかし、そんな高校生の姿を見て、実力のある人は才能だけでなく、努力も一流だということに気付かされました。
一方で、大した努力もせず、才能ある人を羨ましがっていた自分。それからは、最後の一秒まで手を抜かずに練習したり、毎日部活動の朝練前に選抜の練習で教わった個人メニューに取り組んだりしました。
その成果もあってか、最後の全国大会では、予定の時間よりも2倍も長く試合に出ることができました。それまでの過程には、どんなに体が疲れていても、テストが近くても週7で練習するなど大変なことも多くありました。しかし、自分が良い方向に変化している感覚が確実にあり、最高に楽しかったのを覚えています。

その後、地元の公立高校に進学し、バスケットを続けました。もしかしたらどんなに練習しても強豪私立高校には勝てないかもしれない。けれど、自分たちが努力し続けなければ絶対に勝てるようにはならない。そんな心持ちで我武者羅に取り組んだ結果、新人戦で大敗したライバルの私立高校から勝利をもぎ取った時の喜びは言葉にし難いものでした。「できない」を正当化する弱い自分を克服し、自分をより良く変化させる楽しさを感じられたのも、中学時代に県選抜という熱量の高い集団に身を置けたからこそでした。


全力になれなかった大学生時代

なぜ自分は全力に拘るのか。もっと楽な人生でもいいのではないか。結論から言うと、楽な人生は嫌です。その原体験はどこか満たされなかった大学生活にあります。

引退後、勉強に全力で取り組み、大学への進学を果たしました。しかし、どこか満たされない気持ちが常にありました。サークルで行う週2回のバスケットボール、多くて1日3時間の授業。その隙間を埋めるアルバイト。今までバスケットボールに注いできた全力をどこに注いだらいいか分からなくなっていたのがモヤモヤの原因でした。中学生の頃より興味があった北欧への留学に挑戦すれば良かったのですが、それからも「お金が…」という、もっともらしい理由を付けて逃げる自分。この状況は、上手くなりたいと常に渇望していた中高生の時と比べると物足りなさを感じるものでした。

もう一度火がついた就職活動

物足りないという感情に真正面から向き合えず、何にも熱中することがないまま、就職活動を始めることになりました。就職活動では、様々なことに命を燃やしている人に出会いました。インターン生でありながら責任ある立場にいる人、東北大学の就職活動を変えようとしている人、学生のうちから社会に貢献しようNPO法人で働いている人。「全力で何かに取り組み、自分の望む方へ変化し続けていること」に強烈な羨ましさを覚えました。部活動をやっていた時は、今の自分を超えたいと常に渇望し、少しずつ前進している感覚があったから楽しかった。一方で大学時代は、自分の手の届く範囲で生活していたからどこか気持ちが満たされなかった。もう一度、自分自身のレベルアップのために全力になりたい。そう心から思い、FoundingBaseの門を叩きました。


今度は自分が熱量を生み出す側に

これまでに書いたような自分の経験からして、一人の人間が熱量高く、全力で物事に打ち込むには、互いに鼓舞し合う集団が必要だと思います。なぜなら、県選抜の時や就職活動の時、自分は周りの熱量に引き上げられたからです。だから、今度は自分が、そんな集団を作りたい。

では、全力になることの楽しさを知っている自分の集団における役割とは何か。それは自らが熱の発信源になる、つまり「この人がいるから自分も頑張ってみよう」と思われる人になることだと思います。そのためには、自分自身できないことに挑戦し続けることが必要です。合同練習の時の高校生はその後ろ姿で「全力」を語ってくれました。自分は彼らに触発されて、バスケットボールに対しての熱量が上がりました。だからこそ、自分も生徒にとっての「高校生」になりたいと思っています。

もう一つ自分が大切にしたいことがあります。それは、集団の端っこにしっかり目を向けるということです。チームについていく実力もない。信頼もない。練習はハード。練習場所は遠い。県選抜時代の自分は、ネガティブな感情にしか目を向けられず、集団の熱量についていけない側の人間でした。しかし、自分は当時のキャプテンが根気強く声がけをしてくれたことに救われました。あの声掛けが無かったら、努力してより良くなろうとは考えなかったと思います。「どうせ自分なんか無理。」と言っていた生徒が「こんな自分だから頑張ろう。」と思えるために考え続ける。これがもう一つの担っていきたい役割であり、大切にしていきたいことです。

今は目の前に「じゆうく。」があるので、「じゆうく。」を熱量が伝播していく集団にすることが目標です。具体的には、自分の働きかけで一人の生徒の熱量が上がる、その生徒の熱量が「じゆうく。」に通う他の生徒に伝播する、徐々に「じゆうく。」という集団全体が熱を帯びる、そして、その集団の熱量が個人に還元される。そんな世界を作るために、持てる熱量の全てを注いでいきたいです。


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