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[CMOインタビュー]お客様との会話から生まれる、現場の課題に寄り添ったLIGHTzの事業

今回のインタビューでは、前回に引き続き株式会社LIGHTzにて、CMOとしてマーケティング・営業を統括している堀越 龍彦に、熟達者AIであるORGENIUS(オルジニアス)を用いて展開している4つの事業について話を聞いてみました。

ORGENIUS(オルジニアス)の4事業

熟達者の発想や思考を引き出すサーチエンジン

ーー前回は、堀越さんからみたORGENIUS(オルジニアス)の魅力について教えていただきましたが、今回はそこから発展した事業についてお伺いさせてください!最初はどのような活用からスタートしたのですか?

スタートは、製造業などの現場で起こった不具合や事故などの事象について、これまでの熟達者の知見・思考が蓄積されたデータベースより検索/学習できるサーチエンジンです。

熟達者の知見をブレインモデルとして、自分自身に知見や経験がなくても「自分の知っている言葉を手掛かり」として「そこからベテランが発想する言葉」を見つけだします。言葉の繋がりを利用した検索を行うことができるのです。

ORGENIUS(オルジニアス)の管理画面。自身の知っている言葉を元に、ベテランの発想する言葉や、その紐付きを検索することができます。

また、熟達者たちの直観的な言葉の繋がりに対し、その言葉に関連する工学的なメカニズム情報も引き出すことができます。つまり、熟達者の知見に加えて、LIGHTzとして大切にしている技能を学習/習得していく上での「気づきや閃めき」や、その周辺知識も提供しています。

ーーどのような場面で活用されているのですか?

例えば、工場内で発生する設備トラブルの際の原因究明と対策の検索や、新製品開発・研究開発の際に、過去の類似開発案件を検索するといったシーンで活用しています。

製造現場での生産設備トラブルというのは、多くの製造業で発生します。生産設備は動いていることが当たり前で、これが何らかの理由でストップしてしまうと、工場全体の生産性が著しく下がってしまうのです。なので、工場にとって生産設備のトラブル対策は極めて重要になります。

実際に設備トラブルが発生した場合、若手の製造担当者が設備を直すのは難しいため、設備担当者もしくは詳しい知見のある社員に問い合せをします。その他、原因究明には様々なステップが存在しますが、その間も生産設備はストップしたままなのです。一方で、不具合の原因特定の時間を短くできれば、それだけ早く復旧することができますよね。

そこで、ORGENIUS(オルジニアス)のブレインモデルにて、生産設備に詳しいベテラン設備担当者の知見をAI化し、若手の設備担当者であっても、これまでの知見や経験を借りながら不具合原因を絞り込み、簡単な不具合であれば復旧することができるようになります。

このようなサーチエンジンとしての提供を進めていく中で、現場に蓄積されたセンシングデータ(*)を活用したいというニーズがあることがわかり、そこからデジタルファブリケーションという事業を展開しました。

(*)センサーなどの感知器を使用して様々な情報を計測してデータ化したもの

言葉での表現が難しい「感覚」を、データと紐づけて活用するデジタルファブリケーション

ーーセンシングデータとAIを紐付けると、どのようなことが実現できるのでしょうか?

お伝えしている通り、ORGENIUS(オルジニアス)は言葉を扱うAIなので、言葉をインプットする必要があります。しかし、製造業の現場では言葉で表現できない事象も多くあります。

例えば、毎日設備を見続けているベテラン社員は、その設備の見た目や音、においなど五感で捉えられる「ちょっとした違い」を認識して、トラブルの予兆を読み取ることができます。しかし、これらの違いを誰にでもわかる「言葉」で表現するのは難しいのです。

そこでORGENIUS(オルジニアス)では、五感で捉えている着眼点を温度・振動センサーなどでセンシングし、波形の特徴とベテランの思考を結びつけた仕組みを構築していくことができるのです。よって、熟達者でなくても設備が発する「ちょっとした違い」を捉えて、どうするのが良いか、なぜそうするのかを示唆してくれる仕組みを作っています。(私たちは、このベースとなる技術を「Data to Text」と呼んでいます。)

ーーこの技術は、どのような場面で活用されているのですか?

IoT金型による、プラスチック成形の量産立上げ支援システムでの活用についてお伝えしたいと思います。

プラスチック成形をするとき、金型に溶けた状態のプラスチック樹脂を流し込み、そのまま冷やすと製品の形になって取り出すことができます。当然、その金型は出荷前のテストを経ているので、不良品ではないことを確認されているのですが、それでも実際に製品を成形してみると、ヒケという凹みができてしまったり、バリ(角や面に、はみ出て残ってしまうもの)が出てしまったり、様々な不具合が起きる可能性があります。

これは、金型そのものの問題ではなく、金型をとりつける成型機の違いや工場周辺の環境が影響するため、新規の生産立ち上げを行う際には適切な成形条件(金型温度、射出圧力、射出速度、保圧、保圧時間など)を調整する必要があるのです。

そこで金型にセンサーを埋め込んだIoT金型を製作し、センサーの波形からベテラン的な思考で成形条件の補正を指示するシステムを構築しています。よって、ベテランがいない遠隔地の工場であってもAIの支援により、現地スタッフが自力で量産立上げができる仕組みができています。

これはプラスチック成形だけにとどまらず、研削、切削、鋳造、焼結、鍛造といった様々な加工領域に応用することが可能です。

製品の形状特徴を言葉に置き換え、熟達者の知見を紐付けるエンジニアリングツールとしての活用

ーーその後は、どのような事業展開をされたんですか?

その後、2D/3D-CADデータを活用する設計部門などで、網羅的なデザインレビューを行いたいというニーズから、エンジニアリングツールとしての活用を開始しました。

製造業における設計では、2D/3DのCADというツールが使われます。これらのツールは、設計段階で製品の形状をバーチャルにて確認できるツールですが、設計上の問題があるかを判断するには、やはりベテランの知見が求められます。

例えば、3D図面に「穴」や「溝」などの形状があった場合、人は頭の中でその形状を各名称に置き換えたり、形状の組み合わせによって、過去にどんな不具合があったかなど、経験基づいてチェックすることができます。しかし、コンピュータは形状を名前では認識していないため、アラートをあげることができないのです。

これを解決するため、2D/3Dデータに含まれる製品の形状特徴を言葉に置き換え、その形状特徴とベテランの知見をブレインモデルと紐づける技術を開発しました。

ーーこちらの技術は、現場ではどのように活用されているのでしょうか。

自動車メーカーの金属部品で切削加工をする際の、刃具の選定を例として説明したいと思います。

自動車には多くの金属部品が使用されていますが、これらの部品はマシニングセンターや旋盤といわれる工作機械で削り出します。工作機械には、切削する対象部品の形状に応じて様々な刃具が取り付けられますが、適正な刃具がなければ部品加工はできません。そのため、部品設計の段階で、対応する刃具を考慮しておく必要があります。

これを人の判断で行うのではなく、3Dの製品形状からの刃具選定と、その際に起こる可能性がある不具合を、熟達者の知見を元に導き出す仕組みを構築しています。

ORGENIUS(オルジニアス)を、より身近なAIとして感じていただくデータディストリビューション

ーー4つ目の事業についても教えてください!

これまでの事業を基盤として、AIを導入する企業様に対して、ツールとしてのAI操作に留まらず、知見そのものをデジタル化するデータディストリビューション(*)という領域も展開しています。

(*)コンテンツのデジタル配信をサポートするサービス

私たちはAIを提供していますが、本質的には技能や知見における過程の「気づきや閃めき」を提供するプラットフォームです。その気づきや閃めきを得るには、ツールだけでなく情報そのものも重要になります。

そのため、様々な製造業などに蓄積されている知見を裏付ける、工学的なメカニズム情報をコンテンツとして整備しています。テクニックとしてのスキルだけでなく、メカニズムを理解することで応用の効く知識を身につけていただけるように、コンテンツの配信や、ものづくりにおけるAI活用の体験を提供するビジネスを展開もしております。

ーーAI活用の体験とは、具体的に何を行っているのでしょうか?

まず、一般的にAIを導入するには、社内に専門のAIやITエンジニアが在籍している必要があり、それに伴う金銭的に負担など、(AIへの)関心はあっても導入の敷居が高いイメージがあると思います。

しかし、ORGENIUS(オルジニアス)は言葉を扱うAIなので、ツールの操作を覚えればどなたでも簡単に使いこなすことができます。そこで多くの企業様に、ORGENIUS(オルジニアス)を使ってどのように知見をAI化し活用できるのか、体験型のAI構築ワークショップを実施しています。このワークショップは、これまでに茨城、東京、広島で開催しており、今後も多くの地域で実施できればと考えております。

様々なお客様と会話する中で生まれ、育っていく事業

ーー4事業のお話を伺いましたが、幅広い領域で活用されていますね。最近では、スポーツの領域でも活用されていると伺いました。

はい。筑波大学様と共同で、バレーボールやサッカーなど様々なスポーツにおけるレジェンドの知見をAI化して、選手を戦術面からサポートするAIの開発も進めています。Jリーグのチームであるサガン鳥栖様ともサッカーの戦術理論をAI化し、実際の試合を理論に照らして評価するAIシステムを構築し、戦術面からの強化や次の世代の選手育成につなげていく取り組みを行っています。

スポーツ分野で開発したAIの仕組みは、製造業でも応用されています。そういう意味では、LIGHTzの事業は、現場起点でお客様に育てていただいていると言ってもいいかもしれません。現在の4つの事業領域も、LIGHTzの歴史の中の今の瞬間を切り取った状態に過ぎません。この先も、現場起点で新たな領域を生み出していきたいと考えています。

ーー堀越さん、ありがとうございました!

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