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【Our Way 4】『クラウドサイン』のこれまで – リーガルテック最大のチャレンジの幕開け

弁護士ドットコムは、“専門家をもっと身近に”を理念に掲げ、人々と専門家をつなぐポータルサイト『弁護士ドットコム』『税理士ドットコム』『BUSINESS LAWYERS(ビジネスロイヤーズ)』、Web完結型クラウド契約サービス『クラウドサイン』などを提供するリーガルテックのリーディングカンパニーです。

現在主軸となる事業が『弁護士ドットコム』『税理士ドットコム』『BUSINESS LAWYERS』などを管轄する『専門家プラットフォーム事業本部』と『クラウドサイン事業本部』。それぞれの事業を束ねているのは、ともに弁護士資格を持つ2人の取締役です。

これまで3回にわたって専門家プラットフォーム事業の責任者・田上さんに事業・サービスの過去、現在、未来を聞いてきましたが、第4弾の今回は、クラウドサイン事業の責任者である本部長・橘さんのキャリアと事業のこれまでについてインタビューしました。

【Profile】
取締役・クラウドサイン事業本部長
橘 大地(たちばな だいち)

東京大学法科大学院修了。最高裁判所司法研修所修了。株式会社サイバーエージェント入社、スマートフォンゲーム事業、契約交渉業務および管理業務等の契約法務、株主総会および株式関係実務に従事。2014年GVA法律事務所入所、資金調達支援、資本政策アドバイス、ベンチャー企業に対する契約アドバイス、上場準備支援などを担当。2015年11月当社入社、2018年4月より執行役員に就任、2019年6月より取締役に就任。

創業者との運命の出会いから、弁護士ドットコムへ

――法曹界を志した理由を教えてください

父が司法書士、兄が弁護士として働いていたのですが、その姿を見ているうちに自然と「誰かのためになる仕事がしたい」「社会の役に立ちたい」という思いが芽生え、法学部を目指しました。どうせなら最高学府で学びたいと考え、東京大学法科大学院に進学。司法修習時代には裁判官、検察も修習させていただいたのですが、「目の前で困っている人を助けたい」という気持ちが強く、弁護士という職業を選びました。

――キャリアのスタートにサイバーエージェントを選択したのはなぜですか?

私は、常に“弁護士の系譜”とでもいうべきものを意識して歩んできました。これまで日本では正義の実現のために、弁護士たちが役割を果たしてきています。例えば巨大企業による公害事件が多かった時代は、いわゆる社会派弁護士の方々が社会的使命を全うし、その後の我が国におけるジャパン・アズ・ナンバーワン時代のときは渉外弁護士たちが日本企業の国外進出を支えてきました。

そういった時代時代を切り拓いてきたロイヤーたちに憧れを抱いてきたので、私自身もこれからの弁護士として求められることに取り組みたい、つまりアフターインターネット世代のロイヤーとしてインターネットテクノロジーを活用しているスタートアップ企業を支えていきたいと考えたんです。

しかし当時、スタートアップ企業を支援する法律事務所は極めて少なく、最前線でやるにはベンチャーマインドのある企業に入ることが第一選択肢。そこで、憧れの起業家でもあった藤田晋氏が創ったサイバーエージェントで働くことを決めました。サイバーエージェントでは、株主総会の運営や利用規約の作成などさまざまな企業法務に携わりました。今でこそ企業内弁護士は増えましたが、当時はかなり珍しい存在でした。

――2014年、GVA法律事務所へ移られましたが、そのきっかけは?

当時はようやく、日本でスタートアップという概念が生まれてきた頃。先ほど申し上げた“弁護士の系譜”の延長線で、ロイヤーとして若い起業家たちを支えていきたいと考えるようになったんです。

また当時、GVA法律事務所は創立3年目で、事務所自体がスタートアップという側面もあり、そういった組織の経営に参加したいという思いもありました。

――弁護士ドットコムに入社した経緯を教えてください

GVA法律事務所で多くのスタートアップ起業家を支援し、同世代の起業家が次々と上場していく姿を見るうちに、いつしか自分で事業を立ち上げる道を模索しはじめました。

ちょうどその頃、弁護士ドットコム創業者の元榮と会う機会があり、『クラウドサイン』の構想を聞き、リーガルテックへの熱意をうかがいました。テクノロジーの力で社会をよりよい方向へ変革すべきことは多々ありますが、最大の課題はやはり“ハンコ文化”。全国民が関わる、広く当たり前となっている押印文化の変革はリーガルテックの中で最も大きなチャレンジだととらえ、「弁護士ドットコムならばリーガルテックの第一人者となって事業ができる」と感じ、会った翌日にはもう「入社させてください」とメールしていました。

2015年、電子契約サービス『クラウドサイン』の立ち上げ

――入社当時の『クラウドサイン』の状況は?

『クラウドサイン』は、IT化が進む中、「時代の変化に即した新しい契約のかたちがあるのではないか」という課題意識から生まれた電子契約サービスです。契約作業をパソコンだけで完結できるクラウドサービスのため、契約締結のスピード化とコスト削減を実現することができます。サービスリリースは2015年10月で、私も同時期に入社しました。

会社は前年の2014年に上場していましたが、当時の『クラウドサイン』は立ち上がったばかりで、スタートアップのような環境でした。

――スタートアップのような環境下、どのように仕事をしていたのでしょうか?

前職は弁護士だったこともあり、セールスもマーケティングも製品開発も初めての経験。それでも日々、意思決定をしなければならず、朝から夜まで無我夢中で働き、司法試験の受験勉強をしていた時期のように、帰宅してから、また朝は4時5時くらいに早起きして猛勉強の繰り返し。そしてその日のうちに即営業の実践、マーケティングの実践、製品開発の実践が問われ、目まぐるしい日々が続きました。

――現在の『クラウドサイン』は30万社以上の導入実績がありますが、当時の課題は?

当時は今よりさらに“紙と印鑑”という商習慣が根強く残っており、導入実績はほぼない状況。どう電子契約を普及させていくか、その道すじを考える日々でした。

当時、『クラウドサイン』を普及するための課題は山積みでした。まず電子署名法と言われる我が国における電子署名に関する法律が現代技術に適合しておらず、『クラウドサイン』はこの法律に準拠しない選択をしました。電子署名法に準拠した電子署名では、送・受信者両方が事前に印鑑証明書等を取得した上で認証局での手続きを行う必要がありました。「このような仕組みでは、せっかく契約業務の煩雑さを解決できる可能性がある電子契約が社会に普及しないのではないか」という議論があり、『クラウドサイン』は利便性を重視するために電子署名法に準拠しない選択を行ったんです。そのため、全国の法務部の方々に、この法律に準拠しない選択のご理解をいただかなれけばなりませんでした。

各法規制もありました。『クラウドサイン』での締結が認められていない、紙で締結・交付しなければならない契約類型がまだまだありました。例えば、労働条件通知書や派遣契約など。重要な契約は紙での交付義務が残っている状況でした。

また、こういったクラウド製品はスタートアップから普及させるのがセオリーですが、商業登記の際に『クラウドサイン』で締結された書類が審査対象にならず、スタートアップで最も重要な投資契約で利用することができない状況でもありました。

現在では様々なリーガルアクションにより解決されましたが、当時を振り返ると、法改正も必要、法務省の商業登記審査の変更も必要、肝心の電子署名法も解釈変更が必要と、本当にそんなことが可能なのか、果てしない道のりに感じました。

今では30万社もの企業に導入いただき感慨深い数年間でした。

――クラウドサインの事業責任者を務め、2018年4月に執行役員に就任したときはどう思われましたか?

自分自身、弁護士ドットコムに入社してからは『クラウドサイン』を中心とした日々が続いており、ほぼ全ての時間を『クラウドサイン』に注ぎ込みましたが、事業責任者、そして執行役員に選任いただいたときには、これまで以上に責任が伴いますので、一層の努力が必要だと身が引き締まる気持ちでした。

しかしながら自分自身“弁護士の系譜”を意識して歩みつつ、藤田晋氏や孫正義氏のような経営者への憧れを抱いてきました。また、リーガルテックのトップランナーは今も昔も創業者の元榮だと考えていますので、彼が創業した会社で事業を営むことができるなんて夢のようなことだと感じました。

今もなお、この責任ある立場を全うし、努力し続ける日々が続いています。

次回は、橘さんがクラウドサイン事業の責任者に就任してから現在に至る『クラウドサイン』の成長の道のりを聞いていきます。

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