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ABEJA担当者直伝!マーケティングのデジタル化、6つの課題と解決策(後編)

せっかくマーケティングツールを導入したのに使いこなせない。導入しても期待していた成果が出ない……。そんなとき、どんな手だてを取ればいいのでしょうか。ABEJAでマーケティング関連のデジタル化施策を手がけてきた木下正文が解説します。

前編はこちら


「カスタマイズ」「脱ツール化」は検討した?

木下:次は「カスタマイズ」もしくは「脱ツール化」を検討しないまま続けてしまう問題についてお話しします。

いろんな人が使えるように汎用化したものがツールですが、ツールだけだと、かゆいところに手が届かない。細かい課題を改善したり、より成果を出そうとしたりすると、早い段階で限界がくる。

となれば、ツールを使い勝手よくカスタマイズしたり、内製したりする「脱ツール化」を検討したほうがいいです。でもカスタマイズのための手間や費用を「壁」と思い込み、はなから検討しない場合もすくなくありません。

たしかにカスタマイズや脱ツール化、内製化のコストは安くはないですが、それでも得られるメリットのほうがかなり大きいんです。特に開発部分は固定費が多いため、規模の経済が効いてきます。

損益分岐点のグラフ=上図を使って説明します。

ツールの導入メリットは、初期の固定費が安くて済みますが、細かな改善やその企業特有の課題の改善まではできない。だからその後のユーザー数が増えても、売上額の伸びが鈍くなり最終的な利益は小さくなる。

一方、カスタマイズや内製の初期費用・固定費はツールより断然かかります。でもユーザーが増えたり、カスタマイズで適用範囲が増えたりすると売上も伸びるので、最終的な利益はツールだけの時より大きくなる。

売上規模が1億円程度の企業なら体力的に考えてツール導入でいいでしょう。でも、ある程度売上額が増えた時点で、より利益を得るためにもカスタマイズや脱ツール化をいったんは検討してみてはいかがでしょう。

また、最初から少し背伸びして自前で作って回すという考え方もあります。社内の知識もそれに合わせてどんどん引き伸ばせます。トップや推進者が協力的なら、自社構築をするほうが、DXという文脈でいうと効果的だと思います。


デジタルマーケティングの知見を貯める工夫をしている?

次は、デジタルマーケティングの知見がないという問題についてお話しします。

マーケティングに強いといわれているグローバル企業でも、ご担当者とお話しすると、デジタルマーケティングの表面的な調査はしているが、ちゃんと意思決定するほどの知見がなくて困っている…というご相談をいただきます。

そういう企業の主な情報源はベンダーやSIer、代理店ですが、自分たちの利益確保のインセンティブも当然働いた上での情報提供だと考慮したほうがいいと思います=上図左。

また、せっかくのノウハウが部署の壁のせいで共有されないという課題もあります=上図右。ウェブの広告運用部署には最新情報がどんどん入るのに、非広告領域の部署に同じレベルの情報が共有されないといったケースです。これをどうやって克服するか。

上図が対策の一案です。情報感度が高い社員に社内外の情報収集と定期的な情報発信を、サブのミッションとして与えてみてはどうでしょう。アンテナが高い方なら、みずから情報を発信するのも手です。「そういうの詳しいんだね」と認められ、関連の仕事を任せてもらえるようになるかもしれません。

現場だけでなく意思決定権者の思考もアップデートしてもらう必要があります。現場での情報共有と並行して、意思決定者にもレポートを送り続け、理解度を高めてもらいましょう。レポートには、細かい技術の話より背景や潮流に重点を置き「こういう時代になっています」と、繰り返し伝えていくのがポイントです。

知識を蓄える体制ができても、今度は施策を担える人、特にエンジニア、もしくはデータサイエンティストがいない、少ないという組織上の課題が残ります=上図左。Slerに任せようとすると、施策の共有や要件の定義、すり合わせ、資料作りなどに時間をとられることがよくあります。また、期待通りのレベルに達しないことも、ままあります=上図右。

開発もマーケティングもすべて自前だと、ものすごいスピードで実装が進みます。私の前職ではマーケティング部隊も開発部隊も社内で持っていましたが、「こんなことやりたい」と開発に伝えると1週間後には実装、2週間後には修正、3週間後には改善点が出そろう、という速さで進みました。

これがSIerや代理店にお任せすると倍以上、下手すると4倍以上の時間がかかってしまいます。

とはいえ、いきなり全て自社で開発するのは難しい。なので、できるところからやるのがポイントです。例えば、データサイエンティストに興味があるエンジニアが、まずは兼務で小さく始めてみるのも手でしょう。

ですが、習熟には時間もかかります。その間は、スペシャリストがいて事例も把握していて細かいチューニングに対応できる弊社のような企業に伴走を依頼するのも手だと思います。

余談ですが、開発の迅速化にはアジャイル開発が有効です。従来の開発は全ての要件を定義して設計、実装してリリースという流れですが、アジャイル開発は開発の単位を細かくし、素早く実装し、フィードバックをもらいながら実装・修正していく。「小さく作って早く回す」のが特徴です。


事例から見えること

最後に事例をご紹介します。まず、弊社が手がけた自然言語のアルゴリズムを用いたレコメンデーションです=上図。サイトの商品説明文などから、商品間の類似度をみて、新規顧客におすすめする商品を表示しました。ご担当者には、ツールより圧倒的に精度が高いとご評価いただきました。

先ほどお話したYouTubeの視聴の長時間化策です=上図。LTV(life-time value)を最大化させるためにレコメンドエンジンを作っていたという事例です。なかなか作り込まれたアルゴリズムを使っています。

Airbnbの検索エンジンの事例です=上図。Gradient Boosted Decision TreesやFactorization Machineという複雑なアルゴリズムを使ったり、ディープラーニングを組み合わせたりした検索エンジンを構築しています。これでCTRや予約率が上がったそうです。

検索エンジンもユーザーが使うインターフェイスです。マーケティングオートメーション、レコメンド以外にも、改善の余地はあると、この事例から言えますね。

上図は弊社の事例です。メルマガの送信時間を最適化しました。

熱心なユーザーはすぐに開封してクリック率も高い。でも配信から数時間たって開封するユーザーは熱心ではないのでクリック率も低い。また、開封時間によっても購買意欲が変わります。朝から「商品買おう」とならないですが、夜なら「買っちゃおうかな」という気にもなる。こうしたことを踏まえ、メールの内容、送信時間、開封時間の影響をそれぞれ分解し、どのタイミングで配信するのがいいのかを最適化しました。

上図も弊社事例です。メルマガはそもそも「A/Bテスト」がしづらいんですね。テストをしても、次の号で内容も変わるのでテストの知見が生かしづらい。だからリアルタイムでテストしながら、いい結果が出たものにどんどん表示を変えていきました。

お話してきた六つの課題と対策をまとめました=上図。今後、マーケティング施策の効果向上に寄与できたら幸いです。

ABEJA担当者直伝!マーケティングのデジタル化、6つの課題と解決策(前編) はこちら


木下 正文(きのした まさふみ)
名古屋大学理学部卒業。
2012年ベンチャー企業に入社。在籍中に売上高25倍になる中、新卒採用、マーケティング、データサイエンス、新規事業の立ち上げ、経営企画に従事。
データドリブンなマーケティング体制の構築や、People Analytics と呼ばれる人に関するデータを収集・分析・活用するプロジェクトを推進するなど、数値・モデリングによる意思決定体制を構築することを得意とする。
2019年から ABEJA にジョイン。ABEJA では主にマーケティングや医療に関連するプロジェクトを担当。

(2021年3月4日掲載「テクプレたちの日常 by ABEJA」より転載)

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